界面活性剤は肌への負担が大きいという話は本当?

洗浄力の強さから、スキンケア成分としても使用されている「界面活性剤」。

しかし、肌への刺激が強いという欠点もあり、肌への負担を気にする人も少なくなりません。使い方次第では、肌に悪影響を与えるのが界面活性剤なのです。

ここでは、界面活性剤とはどのようなものなのか、本当に肌への負担があるのかなどについて詳しく解説します。

「界面活性剤」とは何か?

「界面活性剤」とは、ひとつの分子内に水になじみやすい「親水基」と、油になじみやすい「親油基(または疎水基)」を含んでいる物質の総称で、水にも油にも溶けるという2つの性質を併せ持っています。

さらに、界面(物質同士の境界面)に働きかけて、その性質を変化させるという性質も持っています。

例えば、水と油は両方注ぐと混じり合わず、2つの層に分かれます。しかし、界面活性剤は水と油の界面の性質を変化させ、本来は混じり合わない2つの物質を混ぜ合わせることができるのです。そのため、油汚れ用の洗浄剤として使われるほか、水溶性成分と油溶性成分を混合させるための乳化剤としても使われます。

界面活性剤が使われている例として、水に溶けて油汚れをきれいに落とす食器洗剤や、油と水を主原料に作られている石鹸などが挙げられます。

界面活性剤がもたらすスキンケアへの影響

界面活性剤には、浸透作用・乳化作用・分散作用という3つの作用があります。

まず、浸透作用は肌の表面張力を低下させて、水をなじませやすくする効果があります。

乳化作用は油汚れを包み込み、水と油を均一に混ぜ合わせる働きがあります。

そして、分散作用はファンデーションなどの粉末を水中に分散させる働きと、汚れが再付着しないように分散によって防止する効果があります。

界面活性剤はこれらの作用が総合的に働いているので、肌表面と水・美容成分をなじませたり、肌の油汚れをきれいに落したりということができるのです。

しかし、油分を含んでいるのは汚れだけではありません、肌を守るためのバリアも水分や油分が含まれているため、界面活性剤の作用が強すぎると、肌のバリアまで剥がしてしまう恐れがあるのです。

界面活性剤は肌への不安が大きいのか?

結論から言えば、界面活性剤が肌への負担になるか否かは「その時の肌の状態」によります。

例えば、敏感肌や乾燥肌などの肌が弱っている状態では、返ってダメージになってしまうのです。

まず、敏感肌や乾燥肌をもたらす原因の一つとして、肌のバリア機能の低下が挙げられます。肌のバリア機能の要は、細胞間脂質の主な成分である「セラミド」です。

しかし、セラミドは脂質―つまり”油分”であるため、洗浄力の強い界面活性剤だと洗い流されてしまいます。

さらに、界面活性剤が角層まで浸透すると、その部分のバリア機能まで壊してしまう恐れもあるのです。

界面活性剤はその洗浄力の強さ故に、弱った肌には強い刺激になってしまいます。

また、化粧品に使われていることが多い乳化剤も界面活性剤の一種なので、使い所を間違えるとスキンケアが逆効果になってしまう可能性があるのです。

界面活性剤を使用する場合の注意点

まず、界面活性剤を洗顔後に使うのは避けましょう。

先述したように、水に浸透した界面活性剤がセラミド作用し、汚れと一緒に洗い流してしまう可能性があるためです。

洗顔の後には、低刺激処方かつセラミド配合の化粧水や、ジェル乳液など、肌に優しいスキンケア用品を選びましょう。

特に、紫外線によるダメージを受けた肌は、バリア機能が低下して弱っている状態なので、なるべく界面活性剤の使用を控えるのがベストです。

また、界面活性剤による長時間のクレンジングも、角質への浸透によるバリア機能の破壊を招いてしまうのでNGです。

もし界面活性剤を使う場合は、「敏感肌・乾燥肌の時には使わない」「クレンジングは短時間で終える」ことが大事です。

使い方を誤らないようにしよう

界面活性剤は強いスキンケア効果を持っていますが、それ故に使い方を間違えると肌に負担を与えてしまう原因にもなるのです。

美容成分は肌に良い効果をもたらす長所と、ダメージを与えてしまう短所があります。

スキンケアをする際は、前もってそれぞれの成分効果を調べ、上手な付き合い方を心掛けるようにすることが大事です。